店舗什器はなぜ地震で倒れるのか
おしゃれな売場は、揺れたときにもお客様とスタッフを守れてこそ完成します。
地震の揺れでハンガーラックやマネキン、ディスプレイ什器が倒れる原因は、大きく分けて「重心が高い」「床の上で滑る」「重さが片寄る」の3つです。どれも、什器の選び方と日頃の対策を組み合わせることで、転倒や移動のリスクを抑えることができます。
日本は世界でも地震の多い国で、大阪・関西エリアでも地震への備えが重要です。そのため「店舗の地震対策」や「什器の転倒防止」は、アパレルショップやカフェ、セレクトショップのオーナー様からもご相談いただくテーマのひとつです。
この記事では、WEONEの店舗什器を例に、転倒や商品の落下リスクを抑えるための具体的な方法をご紹介します。
1. 店舗に地震対策が必要な理由
地震による家具や什器の転倒は、住宅でも店舗でも、けがや避難経路の妨げにつながるおそれがあります。特に店舗には、売場の配置や避難経路を把握していないお客様もいらっしゃるため、日頃から転倒・落下対策と避難経路の確保を行っておくことが重要です。
お客様とスタッフの安全を守る
倒れたマネキンやハンガーラックは、けがの原因になるだけでなく、避難経路をふさいでしまうこともあります。転倒リスクを減らすことは、店舗運営における重要な安全対策です。
商品の被害を減らす
洋服やバッグ、割れやすい雑貨、カフェの食器などの落下を抑えることができれば、地震後の商品被害を減らすことにつながります。
営業再開を早める
什器や商品の被害を抑えておくことは、地震後の店舗状況の確認や営業再開をスムーズにすることにもつながります。事業継続計画(BCP)の観点からも、日頃の備えは重要です。

2. 設置前に知っておきたい3つのこと
「耐震性能」と「転倒対策」は別のもの
重い商品を下段に置く、脚の下に滑り止めを敷くといった工夫は、転倒のリスクを抑えるための対策です。一方、特定の地震に耐えられる「耐震性能」は、試験やメーカーの確認があって初めて示せるものです。対策をしたからといって、売場が完全に安全になったと考えないようにしましょう。
床と壁の状態を確認する
什器を置いたら、すべての脚やベースが床に均等に接しているか確認します。がたつく場合、段ボールや木片を挟むのは避けましょう。時間とともにつぶれたり位置がずれたりする可能性があります。設置場所を変えるか、必要に応じて当社までご相談ください。
建物・商業施設のルールを確認する
商業施設や賃貸店舗では、壁や床への穴あけが許可制になっている場合があります。什器を発注する前に、施設管理者へ固定できる場所と方法を確認しておくとスムーズです。

ご注意: 本記事は一般的な転倒・落下対策をご紹介するものです。壁や床への固定は、施設管理者や専門の施工業者へご確認のうえ行ってください。
3. 転倒を防ぐ3つの基本
重い物は下、軽い物は上
重さが低い位置にあるほど重心が下がり、倒れにくくなります。
滑らない足元
滑り止めやキャスターのロックで、揺れたときの横ずれを抑えます。
左右の重さを均等に
商品を左右にバランスよく配置し、什器の重さが片側へ偏らないようにします。

ハンガーラックでは、重い衣類を中央付近に配置し、左右の重量が片寄らないように掛けることがポイントです。
4. 地震対策グッズの選び方と使い分け
地震対策グッズにはさまざまな種類があり、それぞれ役割が異なります。什器や設置環境に適したアイテムを選びましょう。
| アイテム | 役割 | おすすめの使用箇所 |
|---|---|---|
| 耐震ジェルマット | ベースや脚が床の上で滑るのを抑える | マネキンのベース、自立式ハンガーラック、ディスプレイテーブル |
| 滑り止めシート | 面と面の間に摩擦をつくる | 重ねたディスプレイキューブ、棚板の上 |
| ミュージアムジェル | 小物の移動や落下を抑える | アクセサリー、香水、食器、割れやすい雑貨 |
| テグス | マネキンなどを補助的に支え、動きを抑える | ショーウィンドウのマネキンなど |
| 飛散防止フィルム | ガラスが割れたときの破片の飛散を抑える | ガラスショーケース、店舗の窓 |
| L字金具 | 背の高い什器を壁へ固定するために使用する | 背の高いラックや棚(施設の許可が必要) |
| 落下防止バー | 棚の端から商品が落ちるのを抑える | ステップラックの上段 |
| キャスターストッパー | キャスターの回転や移動を抑える | キャスター付きハンガーラック・マネキン |
これらのアイテムの多くは、ホームセンターなどで手に入ります。ご使用前に取扱説明書を確認し、床材や什器の素材に適しているかをご確認ください。

5. マネキンの転倒防止
マネキンは背が高く、重さの多くがベースより上にあるため、揺れによって動いたりバランスを崩したりする可能性があります。「マネキンの転倒防止」は、ブティックのオーナー様からもよくいただくご質問です。次のポイントを確認しましょう。

マネキンのベース下に耐震ジェルマットを設置し、床の上での滑りを抑えた例。
ベースの下に耐震ジェルマットを敷く
ベースプレートの四隅に耐震ジェルマットを使用することで、床の上での滑りや移動を抑える方法があります。使用する製品が床材やベースの素材に適しているか、事前に確認してください。
ショーウィンドウでは補助固定を検討する
ショーウィンドウなどに設置する場合は、施設の条件や固定可能な場所を確認したうえで、テグスなどを利用した補助固定を検討します。天井や壁への固定が必要な場合は、施設管理者や専門業者へ確認してください。
可動式マネキンは重心の片寄らないポーズに
身体を大きく片側へ傾けたポーズは、重心がベースの外へ出やすくなります。人通りの多い場所ではバランスのよい立ちポーズを選び、伸ばした腕に重いバッグを掛けないようにしましょう。
キャスター付きベースはストッパーを確認
キャスター付きのベースは、設置場所を決めたらストッパーを掛け、移動やレイアウト変更のたびに状態を確認してください。
ガラスから距離をとる
揺れたときにショーウィンドウのガラスへ接触しないよう、マネキンとガラスの間には余裕を持たせましょう。
6. ハンガーラックの転倒・ずれ防止
ハンガーラックが傾いたり移動したりする原因のひとつに、商品の重さの片寄りや足元の滑りがあります。

キャスター付きハンガーラックは、設置場所を決めたらストッパーをロックして使用します。
重いコートはバーの中央に掛ける
シャツ1枚は軽くても、冬物のコートを複数掛けると総重量は大きくなります。重い衣類はバーの中央付近に配置し、左右の重量が大きく偏らないようにしましょう。
重い商品には幅の広いラックを
WEONEのハンガーラックには複数のサイズがあります。コートなど重量のある商品や、掛ける枚数が多い場合は、商品仕様や耐荷重を確認したうえで、売場に適したサイズをお選びください。
耐荷重を守る
什器全体の耐荷重と、バーや棚板1本あたりの耐荷重は異なる場合があります。見た目にスペースが空いていても、商品を追加する前に各商品の仕様をご確認ください。
滑り止めとキャスターのロック
自立式ハンガーラックでは設置面の状態を確認し、必要に応じて適切な滑り止め対策を行います。キャスター付きの場合は、設置場所を決めたらストッパーを確認してください。
壁付けハンガーラックは下地のある壁に
壁付けタイプは、什器や荷重に適した十分な強度のある下地へ取り付ける必要があります。壁の構造や適切な固定方法が分からない場合は、ご自身で穴をあけず、施設管理者や専門の施工業者へご確認ください。
7. ディスプレイキューブ・ステップラックの商品落下防止
ディスプレイキューブは比較的低い位置で商品を見せられる什器ですが、地震時には什器そのものだけでなく、上に置いた商品の移動や落下にも注意が必要です。

商品の落下を防ぐポイント
- キューブは必要以上に高く積み上げない。重ねる場合は、製品仕様を確認し、必要に応じて滑り止め対策を行う。
- 小物や割れやすい商品は、商品や什器の素材に適した固定方法を検討する。
- ステップラックでは、ブーツやレザーバッグなど比較的重い商品を低い位置に置く。
- 商品が棚板から大きくはみ出さないよう、底面を安定して置く。
- 必要に応じて、上段には落下防止バーや前縁を設ける。
8. ショーケース・レジカウンター・ライトボックスの地震対策
レジカウンターやガラスショーケース、ライトボックスは、転倒だけでなく、機器の移動やガラスの破損、避難経路への影響にも注意が必要です。
ガラスショーケース
ショーケースのガラス面には、必要に応じて飛散防止フィルムなどを使用し、万一破損した場合のガラス片の飛散リスクを抑える対策を検討します。ケース内の小物についても、素材に適した固定方法を選びましょう。
レジカウンター
レジ、モニター、決済端末などは、機器やカウンターの素材に適した滑り止めマットや固定方法を使用し、揺れによる移動や落下を抑えます。カウンターは避難経路を狭めない位置に配置してください。

ライトボックス・看板
自立式のライトボックスや看板は、出入口や主要な避難経路を妨げない位置へ設置します。電源コードも通路を横切らないよう整理し、つまずきや什器の転倒につながらないようにしましょう。
避難経路の確保: 什器や固定部材で、出入口、避難経路、消火設備、点検口などをふさがないようにしてください。
9. 業態別の地震対策
アパレルショップ・ブティック
特に注意したいのは、マネキンと、重量のある衣類を多く掛けたハンガーラックです。マネキンは安定したポーズや設置位置を選び、必要に応じて施設条件に合った補助固定を検討します。バッグやシューズなどの重い商品は、できるだけ低い位置へ配置しましょう。
カフェ・レストラン
カフェやレストランでは、カウンター上の食器やグラス、小物類の移動・落下にも注意が必要です。ディスプレイ用の商品には素材に適した固定方法を検討し、ライトボックスや看板はお客様の動線や避難経路を妨げない位置へ配置しましょう。
ポップアップストア・展示会
仮設スペースでは、壁や床への穴あけができない場合があります。会場のルールを確認したうえで、耐震ジェルマットや滑り止めシート、低く幅のある什器など、設置条件に合った対策を組み合わせます。設営前には、会場の避難経路も確認しておきましょう。
通路の狭い小規模店舗
スペースが限られた店舗では、什器が移動したり倒れたりすることで通路が狭くなる可能性があります。入口や主要な通路の近くには、不安定な什器や転倒時に避難の妨げとなる什器を配置しないようにしましょう。
10. WEONEの什器で考える安全なディスプレイ
画像上の丸をクリックすると、それぞれの什器を安全にディスプレイするポイントが表示されます。
全身可動式女性マネキン ディスプレイ用 スタンド付き24211
¥255,200
ウィンドウや入口付近では、バランスのよい立ちポーズを選び、ベースの滑り対策を検討しましょう。ショーウィンドウに設置する場合は、施設の条件や固定可能な場所を確認したうえで、テグスなどによる補助固定を検討します。
商品詳細を見る可動式メンズマネキン|全身ポーズ対応・キャスター付き台座 24212
¥255,200
キャスター付き台座は移動が簡単な反面、揺れによって動く可能性があります。設置場所を決めたらストッパーを確認し、レイアウト変更のたびに再確認しましょう。
商品詳細を見る木製ディスプレイキューブステージ ホワイト(W600)
¥53,000
低い位置で商品を見せられるキューブは、バッグやシューズなどのディスプレイにも適しています。重ねて使用する場合は製品仕様を確認し、必要に応じて滑り止め対策を行いましょう。
商品詳細を見る※仕様・価格・在庫状況は変更される場合があります。最新情報は各商品ページでご確認ください。
11. 避けたい5つのNG例
1. がたつく脚の下に段ボールを挟む
段ボールなどの簡易的な材料は、時間とともに変形したり位置がずれたりする可能性があります。がたつきがある場合は、設置場所や什器の状態を確認しましょう。
2. マネキンをウィンドウのガラスに近づけすぎる
揺れたときにガラスへ接触するおそれがあります。ガラスとの間には余裕を持たせて設置してください。
3. 重いコートをラックの片側に集中させる
ラックの重量バランスが片側に偏ります。重い商品は中央付近を意識しながら、左右に分散して掛けましょう。
4. 対策なしでキューブを高く重ねる
上段のキューブや商品がずれる可能性があります。製品仕様を確認し、必要に応じて滑り止めなどの対策を行いましょう。
5. レイアウト変更後にキャスターのロックを忘れる
移動時にストッパーを解除した場合は、設置後に再度確認する習慣をつけましょう。
12. 地震発生時にスタッフがすること
売場の対策と同じくらい大切なのが、スタッフの備えです。地震発生時に慌てないよう、基本的な対応や施設の避難ルールを日頃からスタッフ全員で共有しておきましょう。
揺れている間
- 落ち着いた声で、マネキンやハンガーラック、ガラスケースなどから距離をとるようお客様に呼びかける。
- 頭を守り、落下物や転倒のおそれがある什器から離れる。
- 倒れかけた什器を無理に支えようとしない。
揺れがおさまった後
- 館内放送や施設管理者の指示、周囲の安全状況を確認し、必要に応じてあらかじめ決めておいた避難経路へお客様を誘導する。
- 安全を確認したうえで、ガラス、電気機器、ライトボックス、什器などに異常がないか確認する。
- 安全確認や什器の点検が終わるまでは、営業再開を急がない。
避難経路や消火器の位置、施設の緊急時ルールを記した簡単な見取り図やマニュアルをレジ裏などに用意しておくと、アルバイトスタッフを含む全員が確認しやすくなります。
13. 点検のタイミングとチェックリスト
毎日の開店前
- 什器にぐらつきや傾きがないか
- キャスターのストッパーが掛かっているか
- 商品が棚から大きくはみ出していないか
- 通路や避難経路がふさがれていないか
商品入れ替え・レイアウト変更の後
- 以前より重い商品を載せていないか
- 左右の重量が大きく片寄っていないか
- 耐震ジェルマットや補助固定にずれや劣化がないか
- 脚やベースが床に均等に接しているか
地震や大きな揺れの後
- 周囲の安全を確認してから什器に近づく
- 傾き、バーの曲がり、接続部の緩みがないか確認する
- 壁付けラックの固定部や、補助固定に異常がないか確認する
- 異常がある什器は使用を中止し、安全を確認してから対応する
外観に問題がなくても、接続部や固定部分が傷んでいる場合があります。判断に迷う場合は、使用を中止し、必要に応じて当社や専門業者へご相談ください。
14. よくある質問
Q. ハンガーラックを壁に固定すれば耐震になりますか?
必ずしもそうとは限りません。ラック本体、固定部材、壁の構造、施工方法などによって性能は異なります。壁へ固定する場合は、施設管理者や専門の施工業者へご相談ください。
Q. ショーウィンドウのマネキンは、どう固定するのがよいですか?
まずベースの安定性や設置位置を確認し、必要に応じて耐震ジェルマットなどの滑り対策を行います。テグスなどによる補助固定を行う場合は、施設の条件や固定可能な場所を確認し、必要に応じて施設管理者や専門業者へご相談ください。
Q. キャスター付きのラックやマネキンは、ストッパーだけで大丈夫ですか?
キャスターのストッパーは基本的な対策のひとつですが、それだけで安全が保証されるものではありません。商品の重量バランスや設置位置、周囲の避難経路などもあわせて確認してください。
Q. 重い商品はどこに置けばよいですか?
できるだけ低い位置に配置し、左右の重量が大きく偏らないようにします。棚板や什器の耐荷重もあわせてご確認ください。
Q. 賃貸店舗で壁に穴をあけられない場合はどうすればよいですか?
耐震ジェルマットや滑り止めシートなど、穴あけ不要の対策を検討します。また、低く安定した什器を選ぶことも重要です。固定が必要な場合は、事前に施設管理者へご相談ください。
Q. 耐震ジェルマットはどのくらいで交換すればよいですか?
交換時期は製品によって異なります。粘着力の低下、ひび割れ、変形、汚れなどがある場合は、各製品の取扱説明書に従って交換やメンテナンスを行ってください。
Q. 店舗のスペースに合わせてサイズを調整できますか?
はい。WEONEでは既製品に加え、商品によっては幅・高さ・カラーなどのカスタマイズにも対応しています。ご希望のサイズや仕様について、お気軽にご相談ください。
Q. 地震後、見た目に異常がなければ使用してよいですか?
外観だけでは接続部や固定部分の状態を判断できない場合があります。傾き、緩み、部品の脱落、固定部分の異常などを確認し、不安な点がある場合は使用を中止してご相談ください。
15. まとめ|おしゃれで安全な売場づくりを
什器の転倒や商品の落下リスクを抑えるには、「重い物を低く配置する」「重量を片寄らせない」「足元の滑りや移動を抑える」「避難経路を確保する」「定期的に点検する」といった対策を組み合わせることが大切です。
マネキンは安定したポーズと設置位置を選び、ベースの滑り対策や、施設条件に応じた補助固定を検討します。ハンガーラックは商品の重量をできるだけ中央付近へ分散し、キャスター付きの場合はストッパーを確認します。ディスプレイキューブや棚では、重い商品を低い位置に置き、商品の移動や落下にも備えましょう。
また、大きな揺れの後は、什器や固定部分に異常がないか確認し、安全が確認できるまでは使用や営業再開を急がないことも重要です。
店舗に合った什器選びは、WEONEにご相談ください
売場の広さや商品の種類、ご希望のレイアウトに合わせて、ハンガーラックやマネキン、ディスプレイ什器をご提案します。サイズや仕様についてもお気軽にご相談ください。












